頚髄損傷になると?

画像:頚髄損傷(頸髄損傷)

頚髄を損傷してしまうと、どうなってしまうのでしょう?
頚髄を損傷すると、体の機能面に障害が生じてきます。大きく分けると4つの機能が影響を受けます。

頚髄を損傷することによる障害(後遺症)

  1. 運動機能の障害
  2. 感覚機能の障害
  3. 自律神経系の障害
  4. 排泄機能の障害

1. 運動機能の障害

胸から下は動かすことが出来ません。損傷部位が比較的下の方(首の骨の上から5~7番目)なら、腕は動かせます。しかしながら指は正常に動きません。まったく動かないと言っても言い過ぎにはならないと思います。

私は6番目の損傷なので、腕は動きますが指はほとんど動きません。若干ピクピクと動くかなという程度です。損傷部位が比較的上の方 (首の骨の上から1~4番目)なら症状はかなり悪くなります。片方の腕しか動かない、肩を少し動かせるだけなど、機能のほとんどが失われてしまいます。もちろん足も動きませんので歩くことは出来ません(奇跡的に歩ける場合もあり)。
歩くには、やっぱりドラゴンボールを七つ集めて・・・もういいか(^_^;)

足は、動かないのでじっとしててくれればいんですが、1つ問題があります。それは痙性(ケイセイ)です。痙性とは、麻痺している部分が勝手に動き、痙攣したようになることを言いますが、これは自分の意思とは関係なく起こるため、車椅子の上でバランスを崩し落車(車椅子から落ちる)したり、体が棒のように伸びきってしばらく元に戻らなくなったりします。私はこの痙性が強いため、車椅子に乗ってるときはドキドキです(いつ痙性が始まるか分からないので)。

痙性(ケイセイ)の正式な呼び方は痙縮です!

痙縮(けいしゅく、英:spasticity)は、相動性伸張反射の増強を主体とする筋緊張が亢進した状態のこと。痙性・痙攣・攣縮・痙直などとも呼ぶ。

痙縮 - Wikipedia

痙性の動画(痙性の出る様子)

落車したことも何度かあります。痙性を薬で抑えることも可能ですが、副作用(体がだるくなる)がありますので正直飲みたくはありません。大して効かないというのもありますが…(´o`;)

初めて痙性を見た人は、「足動くじゃん!」と言いますが、それは違います。

2. 感覚機能の障害

触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚などの感覚が麻痺します。どういうことかと言いますと、怪我をして血が出ても、やけどして皮膚がなくなっても本人は気が付かないということです。これは十分に注意しないといけません。

私はお好み焼き屋で、お好み焼かずに自分の肘を焼きました(わざとじゃありませんよ~)。まったく熱さは感じませんでした。それに気が付いたのは友達でしたが、肘は血まみれで全治3ヶ月のやけどでした。(;゚□゚)

また、頚損の友人は、こたつで足の親指をやけどしました。こたつの熱い部分に親指が触れていたそうです(T_T)

やけども大変ですが、一番気を付けないといけないのは褥瘡(じょくそう)です。床ずれと言った方が聞いたことがあると思いますが、身体の同じ部位が長時間圧迫されることで血行不良を起こし、圧迫されている部位の皮膚や肉が壊死してしまうことです。主に仙骨部分(おしり)がなりやすく、長時間同じ姿勢で座っていることが原因です。

しかし、痛いという感覚が無いために褥瘡にはなりやすいです。褥瘡から感染症になることもあるので、一番気を使うところではないかと思います。

3. 自律神経系の障害

脊髄(頚髄)を損傷してしまうと、汗をかくことが出来なくなります。人間の体は、熱を汗によって下げる仕組みですが、これが出来ないために体内に熱がこもります。この熱のことをうつ熱と言います。

この熱は、風邪を引いたときの熱とは違った感じです(うまく表現出来ません)。夏場の直射日光は急激に熱が上がるので要注意です。また、寒いときには低体温になってしまうなど、体の温度調整機能が働きません。

膀胱に尿が溜まった時や排便時などに血圧が上昇したり発汗したりします。これは、自律神経(迷走神経)が体の異変を伝えていて、過反射と呼ばれています。感覚がなくなってしまった脊髄損傷者(頚髄損傷者)は、この過反射を頼りにトイレに行く人が多いです。しかし、最悪脳出血の原因となるため注意が必要です。

私は尿意を少しだけ感じることが出来るので過反射を頼りにしていませんが、トイレに行かず我慢していると、発汗と激しい頭痛に襲われます。発汗すると言っても、右半身の額だけです。不思議な体になりました・・・(^o^;

4. 排泄機能の障害

脊髄を損傷すると、排便と排尿がうまく出来ません。これは、便や尿を外に出す筋肉がうまく働かなくなってしまうからです。排泄は、排泄日を決めて下剤と座薬(レシカルボン)を使って行うのが一般的です。

レシカルボンとは、肛門から挿入すると炭酸ガスを発生して腸を刺激し、腸の運動を活発にして排便を促す薬です。下剤は、飲む量を間違えると失禁してしまうために調整が難しいです。私はレシカルボンのみを使用して排泄を行っています。

排尿方法は、導尿法、尿道括約筋切除術、膀胱ろう増設術の3種類があります。

導尿法
カテーテルと呼ばれる清潔な管を、尿道から膀胱へ差し込み排尿
尿道括約筋切除術
尿道のまわりにある筋肉を削り取り、集尿器を装着する
膀胱ろう増設術
下腹部から膀胱に穴を開け、バルーンカテーテルを装着する

私は導尿法で排尿をしています。しかし、指がうまく動かないのでカテーテルを膀胱へ差し込むときは苦労します。寒い日は括約筋が収縮するのか、カテーテルが入らないなんてトラブルになることもあります。そんなときはベッドの上で導尿するとうまく出来ます。

頚髄損傷についてを3ページにまとめました